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仙台市政だより 2018年2月号

3・11 震災文庫を読む(5)

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宮城県仙台市 クリエイティブ・コモンズ

東日本大震災を語り継ぐため市民図書館に設けた「3・11震災文庫」。所蔵する約1万冊から、よりすぐりの本をご紹介します。

土地が語りかけてくる言葉に耳を傾ける
海辺の図書館 庄子 隆弘

■「地名は知っていた 上・下」
太宰幸子/著
河北新報出版センター刊
「まさか、津波が来るとは思っていなかった」。震災後、何度この言葉を聞いたことか…。しかし、地域の神社や石碑に過去の大災害の記録を見つけることはそう難しくありません。同じように、過去からのメッセージを伝えるのが地名です。
著者は震災後の沿岸部を歩き、被災を目の当たりにしながら、地名の由来を紐ひも解き、時にはかつての大災害と重ね合わせます。例えば、念仏田(ねんぶつだ)という宮城野区岡田の地名は、1611年の慶長大津波の際、浸水した水がなかなか引かなかったので、住民がそこで念仏を唱えたのが由来とされます。こうした災害だけでなく、過去の豊かな生活や文化も地名が継承していることが分かる1冊です。

■「あの日に続く時間2011・3・11」
高橋親夫/著
冬青社刊
3・11というタイトルから想像される被災記録の写真集ではありません。鮮やかな色のタイルに囲まれた風呂場や便所、何もない空間にぽっかりと空いた井戸、1ページ1ページに普段であれば見ることのできない、むき出しになった生活空間の痕跡が写し出されています。
震災が、津波がなければ、継続したであろう人々の豊かな暮らしをそこに想像し、記録・記憶を後世に残すことは、決して悲惨さや恐怖を伝えるだけではないことを、これらの写真が教えてくれます。
後半、開発・整備されつつある無機質な景色の中、小さく芽吹く植物たちは、“あの日”から未来へと続く希望のように感じられます。

※紹介した本は、市民図書館でご覧いただけます

問合せ:市民図書館
【電話】261・1585

〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2-21-11 山竹ビル
協力 仙台市 〒980-8671 仙台市青葉区国分町三丁目7番1号