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仙台市政だより 2018年4月号

3・11 震災文庫を読む(7)

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宮城県仙台市 クリエイティブ・コモンズ

東日本大震災を語り継ぐため市民図書館に設けた「3・11震災文庫」。所蔵する約1万冊から、よりすぐりの本をご紹介します。

あの日描いた未来に立って アートディレクター・演出家 吉川 由美

■「東北の震災と想像力」
鷲田清一×赤坂憲雄/著
講談社 刊
■「表現者たちの『3・11』」
河北新報社編集局/編
河北新報出版センター 刊
記憶は薄れていきます。人生のよりどころとなる何もかもを一瞬のうちに奪われた方々の心から、少しずつでも悲しみや喪失感が薄らぐようにと願う一方、その痛みの奥底に向き合い、失ったものの重みを共有せずに、この震災を未来に伝えることはできないだろうとも思います。
この2冊は、東北に生きる私たちが被災直後にあるべき復興の姿を必死で探っていた時の、思考の原点に立ち返らせてくれます。鷲田氏が河瀬直美監督の映画から本書に何度か引用している言葉を借りれば、「忘れてええこと、忘れたらあかんこと、忘れなあかんこと」について、じっくりと考えるための多様な視座を与えてくれるのです。
表現者たちは被災した人々に寄り添い、深い思考の中から目には見えないものを地道に形にしてきました。その活動には、住民が心からの復興を遂げるための後押しをする、色あせない力が宿っているように感じます。
街並みを奪われたことで海辺の人々の共助の知恵や共同体の強さが改めて見いだされ、再生すべきコミュニティーの未来の姿がそれに重なったあの日、小さな希望が生まれました。
今が、あの日描いた未来なのでしょうか。インフラの復興が終盤に向かう中で、新たな基盤にどう魂を入れるべきか、東北人として世界に伝え続けていくべきことは何か…、これらの本は私たちに問うてきます。

※紹介した本は、市民図書館でご覧いただけます

問合せ:市民図書館
【電話】261-1585

〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2-21-11 山竹ビル
協力 仙台市 〒980-8671 仙台市青葉区国分町三丁目7番1号