ユーザー登録
文字サイズ

仙台市政だより 2019年12月号

政令指定都市・区制移行30周年 つなぐ。仙台

8/48

宮城県仙台市 クリエイティブ・コモンズ

■今月のテーマ「イノベーション(技術革新)」
政令指定都市・区制移行30周年に当たり、さまざまなテーマに沿って、これまでを振り返り、これからを展望していきます。

◇これまで―イノベーションの取り組み
本市は、企業の支社や支店が集中する支店経済を基盤に、サービス業等の第三次産業を中心に発展してきましたが、人口減少や経済のグローバル化が進む中、地元企業、産業の競争力を高めることが不可欠になっています。
大学等の知的資源を生かし産学官連携を進め、平成17年にフィンランド共和国と協定を交わし「健康福祉センタープロジェクト」を開始。同国と地域企業・大学による高齢者向け福祉機器・サービスの開発支援を行ってきました。東日本大震災からの復興の過程では、地域のために何かしたいという思いに根ざした起業の動きが活発化しました。「日本一起業しやすいまち」を掲げ、同26年に起業支援センターを開設。起業・創業にチャレンジできる環境づくりを進めています。また、近年ICT(情報通信技術)の集積が進んだことから、先端技術とさまざまな産業との掛け合わせ(X―TECH(クロステック))による新事業の創出や先端ICT人材の育成・確保を推進。ICTによる地域産業の高度化に取り組んでいます。同30年に東北大学内に設置が決まった世界最高水準の分析機能を持つ次世代放射光施設は、イノベーションや付加価値の創出等、仙台・東北の産業振興への寄与が期待されます。
さまざまな主体を巻き込みイノベーションを促進し、地域経済の持続的な成長に向けて取り組んでいきます。

◇インタビュー 最先端技術を漁業に活用し、地域が抱える課題を解決
ソフトウエア開発を基幹事業とする東杜(とうと)シーテック株式会社では、東北大学情報知能システム(IIS)研究センターとの連携により、最先端の画像処理技術や人工知能(AI)を活用した新システムの開発に取り組んでいます。その実例の一つが、超音波を用いた魚の雌雄判別装置。タラやサケは雌雄で取引価格が大きく異なりますが、人の目で選別するには長年の経験と労力が求められます。そこに画像処理技術やAI技術を取り入れることで、雌雄の自動判別が可能に。作業効率の向上、高度衛生管理(HACCP(ハサップ))対応に加え、漁業者の高齢化や人手不足の解消にもつながることが期待されています。
この開発の契機となったのは、東日本大震災。被害の大きかった沿岸部地域を応援したいという思いから、気仙沼へ足を運ぶようになりました。漁師の方々と会話を重ねるにつれて漁業における課題が浮き彫りとなり、その改善に情報通信技術(ICT)を応用できそうだと確信。魚の雌雄判別装置の実証実験や製品化をはじめ、現在は魚の水揚げや魚種選別の自動化なども構想中です。国内外に誇れる宮城の漁業を守っていくためにも、少しでもお役に立てる活動を続けたいと考えています。
こうした新しいシステムの実現は、ソフトウエアの開発のみでは完結しません。例えば人の手の動きに代わる装置を作るとなれば、ソフトウエア以外にセンサーやロボットなども必要となり、それらを製作する企業との連携が重要です。仙台のICT企業それぞれに得意分野がありますので、お互いに力を合わせながら、新しい領域を広げていきたいと願っています。特に漁業や農業は今でも手作業が多いため、ICTの導入によって大きなイノベーションが見込める分野。宮城や東北の地域課題にX-TECHイノベーションで応えていくことが、日本や世界の課題解決にもつながれば幸いです。

▽プロフィール/仙台を拠点にソフトウエアを開発する「東杜シーテック株式会社」、東北大学の最先端技術を活用して産学連携を推進する「情報知能システム研究センター」

〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2-21-11 山竹ビル
協力 仙台市 〒980-8671 仙台市青葉区国分町三丁目7番1号