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仙台市政だより 2019年4月号

3.11 震災文庫を読む 19

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宮城県仙台市 クリエイティブ・コモンズ

東日本大震災を語り継ぐため市民図書館に設けた「3・11震災文庫」。所蔵する約1万冊から、よりすぐりの本をご紹介します。

伝えつなげる
東北福祉大学非常勤講師 高梨 富佐(ふさ)

■「紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている―再生・日本製紙石巻工場」
佐々涼子/著早川書房 刊
副書名から分かるように、この本は日本製紙石巻工場再生のドキュメンタリーです。震災体験を本として残すときに必要なのが紙ですが、用途によって紙質が厳選されていて、石巻の紙でなければならないものが多数あったことをこの本で知りました。紙がなければ出版はできず、伝承の危機でもあったのです。 
壊滅的な状態から、社員一人一人のすさまじい努力によって再生していくさまに人間の凄味(すごみ)を感じます。工場再生の過程だけではなく、人々の心の動きが描かれていて、響いてきます。被災当時の思いが次第に薄れていきつつある今、呆然(ぼうぜん)と立ち尽くした当時の感情が呼び戻されてくる本です。

■「人の心に木を植える   『森は海の恋人』30年」
畠山重篤/著スギヤマカナヨ/絵講談社 刊
「森は海の恋人」という言葉を耳にしたことはありませんか。この言葉で知られる畠山重篤さんの30年の活動を子ども向けに書いた本です。 
環境や海、森に興味を持ってこの本を手にした子どもたちは、後半、震災による気仙沼の被害を知ることになります。そして、畠山さんが試行錯誤しながら再び立ち上がる日々の様子を興味深く読むことができます。 
日本中の子どもたちに自然の脅威や人の優しさを伝えていくためには、「震災」というキーワードからだけでなく、震災のことが分かる工夫が必要です。子どもたちの心に木を植えるようにして、つなげていくことが大切であると思います。

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