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仙台市政だより 2020年1月号

特集1 新春市長座談会―仙台の未来を創る若い力1

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宮城県仙台市 クリエイティブ・コモンズ

■仙台を挑戦の場として選び、各分野で活躍する若い世代の4人のゲストをお迎えし、活動に懸ける思いや今後のまちづくりなどについて、郡市長と語り合っていただきました。

◇ゲスト:
株式会社manaby代表取締役 岡﨑衛さん
株式会社manaby代表取締役。大学在籍中から障害者の就労支援に携わる。2016年、現在の会社を設立。1987年、仙台市生まれ

有限会社長谷部漆工 仙台箪笥職人 菅野裕喜(かんのゆうき)さん 
仙台箪笥職人。大工の経験を経て、2006年有限会社長谷部漆工に入社。2019年12月、全国伝統的工芸品公募展経済産業省製造産業局長賞受賞。1983年、京都府生まれ

防災士 佐藤美嶺(みね)さん
防災士。各地で子育て世代向けの防災講座等を行う。仙台市地域防災リーダー(SBL)としても活動。1982年、山形県生まれ

一般社団法人GrannyRideto代表理事 桃生和成(ものうかずしげ)さん
一般社団法人GrannyRideto(グラニーリデト)代表理事。2008年せんだい・みやぎNPOセンターに入職。2016年に現在の法人を設立。1982年、仙台市生まれ

市長:あけましておめでとうございます。昨年、仙台市は市制施行130周年、政令指定都市・区制移行30周年という大きな節目を迎え、次のステージへと歩み出しています。ここ仙台でチャレンジを続ける若い世代の皆さんに、その原動力や将来の展望などについてお話しいただきたいと思います。まず初めに、皆さんの活動内容について教えていただけますか。
岡﨑:私たち株式会社manaby(マナビー)では、オンライン学習を活用して、障害のある方の就労を支援しています。大学在籍中に別の就労支援の会社を立ち上げたのですが、新しい職場に通い始めても、人間関係の悩みなどで働き続けられないケースを見てきて、もっと違う働き方があってもいいのではないかと感じました。そこで、在宅トレーニング・在宅就労を支援する今の会社を設立しました。オンライン学習の教材も自社で開発し、利用者の意見を取り入れながら日々改善することで、より使いやすいシステムを目指しています。
市長:その人が働く場所に合わせるのではなく、多様な働き方を選ぶことができるというのは、これからの時代の大切な視点ですね。桃生さんからは、この座談会の会場として、ご自身が運営されているシェア型複合施設「THE6(ザ・シックス)」をお借りしました。木の温もりのある空間に広々としたデスクやオープンキッチンなどもあって、新たな出会いや発想が生まれそうな素敵な場所ですね!桃生さんは普段どういった活動をされているのですか。
桃生:私は、THE6の企画運営やまちづくりイベントの企画、書籍の編集などを行っています。THE6では、シェアオフィスやミーティング、イベントなどにスペースを貸し出すだけでなく、何かをやりたい人が仲間を増やしたり、新たな一歩を踏み出すお手伝いをしています。例えば、もっと商品の魅力を高めたいという方に、THE6を利用しているデザイナーを紹介してパッケージを見直すなど、人と人をつなぐ、いわば場づくりができればと思っています。
市長:人と人をつなぐことで、個々の活動をパワーアップさせるコーディネーターのような役割はまちの活性化に不可欠な存在ですね。続いて、佐藤さんは、どのようなきっかけで防災士になられたのですか。
佐藤:きっかけは東日本大震災です。震災の直前に出産し、仙台への引っ越しも決まっていたのですが、被災した仙台に赤ちゃんと一緒に移り住むには何を準備したらよいのか、今までにない不安を感じました。防災士の資格は、自分や家族の備えのために取得したのですが、近くの児童館で機会をいただいたことをきっかけに「ママの立場で考える防災・減災」をテーマに、子育て世代向けの講座を始めました。講座では、例えば小さいお子さんがいるご家庭なら、おやつを買うときに2個買って、1個は備蓄にするなど、家庭ですぐに実践できることをお話ししています。
市長:普段の生活に合った防災の知恵や工夫を伝えることで、ご家庭でも平時からの備えに取り組みやすくなりますね。最後に菅野さんですが、初めから仙台箪笥(たんす)の職人を目指していたのですか。
菅野:祖父が大工をしていましたので、幼い頃からものづくりに興味がありました。定義山の五重塔に感銘を受け、最初は宮大工を志したのですが、弟子入りを希望した棟梁(とうりょう)のもとには職人の空きがなく、その道は諦めなくてはなりませんでした。その後、古い箪笥の修理を手伝っていたときに、名工が作った仙台箪笥に出会い、その迫力と魅力に衝撃を受け、この道に進むことを決めました。
市長:「仙台」の名を冠した伝統工芸を若い方が継承してくださることは大変うれしいですね。

■強みを掛け合わせる
岡﨑:私は防災士の方に初めてお会いしたのですが、どのような活動をされているんですか。
佐藤:防災士の活動に決まった形はないのですが、私は、防災士には行政が発信した防災情報を、住民の方がキャッチしやすくなるよう、地域の中で分かりやすく伝える役割があると思っています。防災のシンポジウムなどに一般の方が参加されることは少ないので、もっと身近に防災の話が聞ける場をつくりたいと思って、活動しています。
市長:災害時には障害のある方にもいろいろな困難があると感じます。岡﨑さんのところに通って来られる障害のある方と佐藤さんの活動を掛け合わせたら、解決の一歩になりそうですね。
岡﨑:社内で災害対応の研修も行っていますが、障害のある方の状況に応じた対応ができるかといえば、まだ十分ではないと社員全員が感じています。
佐藤:いざというときの対応を、一度でも考えてみたことがあるのと全くないのとでは、災害時の動きが全然違ってきます。私も障害ある方との関わりについて教えていただきたいです。
桃生:菅野さんが今日持ってこられた「仙台箪笥のオーディオスピーカー」は、ご自身で全て作られたのですか。
菅野:仙台箪笥は、指物(さしもの)、漆塗り、金具の3つの技術で成り立っていて、これも各分野の職人で試行錯誤しながら作りました。実はこのスピーカーは、海外との職人交流事業がきっかけで出会った、大学の先生方との交流から生まれたんです。漆を塗って、磨く作業を繰り返すことで生まれる堅さが音の響きに良い影響を与えるようです。工芸は、地域の文化を「物」に託して伝えるツールと考えています。スピーカーに注目してもらうことで、地元の魅力が伝えられたらと思います。
市長:皆さんのアイデアと技術が結集して、伝統の世界に新たな息吹がもたらされているのですね。
菅野:家の収納が箪笥からクローゼットに移り変わる中で、仙台箪笥の技術を生かして何を作れるか、ということは常に考えています。スピーカーのように外からアイデアをもらうことは、職人自身がこの技術の可能性に気付く機会にもなります。

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